STORY

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汚部屋じゃないのにモヤモヤ

片づけに興味を持ったのは中学1年生のとき。
初めて自分だけのお部屋を与えられ、お気に入りの文具や雑貨の収納やディスプレイをするのが楽しみでした。しかし、ランドセルや要らないモノを詰めた段ボールを隠しており、定期的にモヤモヤがやってきては片づけをくり返す日々でした。

転機になったのは25歳、息子が1歳をすぎたあたり。
私の片づけへの興味は危機感に変わりました。
ちょっと目を離した隙に、キッチンの引き出しを開けて、かつお節を床一面に広げていたり、鍋を全部出して息子が棚の中に入っていたり・・・。「育児ってこんなことが起きるものなの?!」とビックリ。

さらには「専業主婦だから時間もお金も自由にならない。」「独身時代の服は何を着ても似合わない。」「どうせすぐに汚れるしおしゃれしても意味がない。」などとネガティブな気持ちになることが増えました。

クローゼットに服は山積み。洗面所にはスキンケア用品だらけ・・・。
すさんだ自分をなんとか素敵に見せたかったのだと思います。
けれど、夫に注意されては言い訳をし、来客時には必死でモノを隠している自分にモヤモヤはつのる一方でした。

こんまり®流片づけとの出逢い

2011年、母から「ときめきで片づける人、知ってる?」と聞かれ、近藤麻理恵さんを知りました。その数日後、テレビ番組で偶然片づけレッスンの様子を見てショックを受けました。片づけ終わったお部屋にあるモノのひとつひとつに存在感があり、依頼者の様子が「本来あるべき姿」になっている感じがしたのです。

「もし私がこの片づけをしたらモヤモヤがついに晴れるのでは・・・」とワクワクしました。すぐに「人生がときめく片づけの魔法」を手に入れ、片づけ祭りを実践。

当時、長男3歳、娘が1歳の2児の母で、24時間子ども達と一緒の生活でした。
忙しかったはずですが、火がついた私は子ども達を寝かしつけたあと深夜に何時間も夢中で片づけ続ける日々を3ヶ月送ったのです。

”ときめき”で選ぶとは?

本に書いてある手順に忠実に実践すると「ときめき」という感覚は、初めからなんとなく分かりました。
しかし、頭で考えていたことと違いすぎて「本当にこの感覚だけを頼りにモノを捨てても良いのだろうか・・・」と何度も不安な気持ちになりました。

例えば、布オムツ。
布オムツ育児は赤ちゃんにも優しいし家族も喜んでくれていたので、ときめくだろう、と思っていたのですが、ときめきませんでした。
ときめかないと気づいた瞬間、勧めてくれた祖母や母の顔が浮かび、ドキっとしました。「もう布オムツはやめたい」と母と夫に話して手放したときの心が軽くなった感覚はいまも覚えています。

その逆のパターンもありました。
白紙のページがたくさんある3年育児日記は、「母親として不完全な自分を残したくないから手放して初めからなかったことにしたい!」と考えていました。
しかし実際に手に取ると、未熟ながらもたくさんの喜びや愛情あふれる瞬間を重ねてきたことに気づかされ、すごくときめきました。

モノに触れた時の身体感覚と、思考には大きなズレがあることを知りました。

「母」「妻」だけじゃない

「良き母」「良き妻」のために持っていたモノの多くにときめかない現実を見つめていく中で「私自身はどんな母でいたいのか、どんな妻でいたいのか、家族にどんな気持ちで接して、どんな人生を送りたいのか・・・」と自問を繰り返すようになりました。

しかし、すぐには答えが出なかったので、ひとまずこれから先の目の前のひとつひとつの選択を「私のときめき」でしてみよう、とだけ決めました。


パン作りやアルバムづくりなど「家庭のためにしたいこと」を楽しむ一方で、夫に自分の理想や素直な想いを伝え、子ども達と離れて一人の時間を持ったり、ミュージカル出演を果たすなど、家庭での役割を超えたチャレンジもするようになりました。

家族に片づけが伝染するって本当?

2013年に第3子が生まれると、片づけに手が回らなくなることが増えました。「子どもの好奇心が育っている証拠」と前向きに捉えようとしてみても、あっという間に乱雑になってしまう光景に「これは私が送りたい理想の暮らしじゃない!」という違和感がふくらんでいきました。

自力での片づけの限界を感じ「こんまり流片づけ講座」に申し込み、片づけ祭りをイチからやり直しました。
そこで、いつの間にか元の思考パターンに引っ張られ、ときめきそっちのけで部屋をスッキリさせることにこだわっていたことにハッと気づいたのです。

あらためて理想を掘り下げていくと「家族に笑顔を向けられる心の余裕がほしい」という想いが湧いてきました。
ひとりの時間が欲しいのも、家が整っていてほしいのも、そうして自分をいい状態にして、家族と暮らせる喜びをたくさん感じたいから。
そんな心の奥底の願望に触れ「もう減らすモノはない」と思っていたところからさらに4分の1くらいモノが減りました。

講座の仲間の存在もあり、高いモチベーションを維持して楽しく片づけていると、そんな様子を長男と娘が察知。
「やってみたい」と言うので、初めて子ども達の衣類も全出しして親子で片づけることにしました。

私だけの片づけ物語が、ここから家族にも伝染し拡大していったのです。

子どもに片づけは無理!?

実は、初めての子どもとの片づけ祭りは、ただただ戸惑い続ける時間でした。
迷いなくときめきで選ぶ子ども達に、私がついていけなかったからです。

例えば、親戚から頂いた高価なおもちゃ。

ときめかないと言われた瞬間「親戚に申し訳ない・・・」との気持ちが先立ち、「え?それときめかないの?」と圧をかけてしまいました。娘の表情が曇るのに気づいてハッとし、慌てて「○○ちゃんは、ときめかないんだよね。お母さんの予想と違ってビックリしちゃっただけだから、それで大丈夫よ」とフォローを入れる・・・といった調子でした。

何度かこんなギクシャクしたやり取りを繰り返したところで「別に命にかかわることではないのだから、持ち物くらい子ども自身のときめき100%で選ばせてみよう」と腹をくくった瞬間がありました。

すると、子ども達は生き生きと「ときめき」を語ってくれるようになり、親子の片づけの時間が「ときめきをシェアするあたたかな時間」になったのです。

片づけは自分や家族が大切にしたいものを知る手段のひとつ。
自分の思惑通りに事を進めようとしていたことを反省し、片づけの常識がガラリと変わったのでした。

ときめく人生は良いことしか起こらない?

「人生がときめく」という言葉の響きから「良いことしか起こらない」というイメージを漠然と持っていました。
しかし、そうではないのだと思い知った出来事があります。

小学校のPTAの改革をした際に、とある良くない噂話が広まっていったのです。ピンチだからこそ寄り添ってくれる人の優しさを知ることができたというポジティブな側面もありましたが、ショックも大きかったのが本当のところ。

途端に人目が気になるようになり自分の「ときめき」へ疑いを持つようになりました。
そんな時、Joy at Workというこんまりさんの著書に出逢いました。

その中にある”人の目が気になって「ときめく」道に進むのが怖いとき”という章のエピソードが、自分と重なるように感じられ、読みながら涙が止まらなくなってしまったのです。

感情を出し切ってみると「どんな生き方をしようと、自分のことを嫌うひと、誤解するひと、批判するひとは必ず存在するものなんだ」と、ふと冷静になれました。

ときめきを見失いかけていましたが「やっぱり自分の心に従って生きる道を私は選びたい」と、読後は少し前向きな気持ちになっていました。

片づけコンサルタントになった意外なきっかけ

2019年、幼稚園のPTA会長として、こんまり流エグゼクティブコンサルタントの高山喜代美さんの講演会を企画運営し、70名以上の保護者の方にご参加いただきました。講演会の中で高山さんがお話しされたお客様のエピソードを聴き「私もこんな片づけコンサルタントになりたい」との思いを強めていました。しかし、そう自覚してからも噂話の一件もまだ尾を引いており、行動にうつす勇気が出せない時期が数ヶ月続きました。

そんなある日、当時小3の娘から「お母さんは、いま何にときめくの?」と聞かれました。娘からの意外な一言にビックリして頭が回らず「え、えっと、お母さんは、いま、片づけの仕事がしたいと思ってる。それができたら、ときめく!」と、そのとき考えていたことがうっかりそのまま口から出てしまいました。

実はこのやり取りが、わたしが片づけコンサルタントへの道を進むことになったきっかけです。
「我が子に言ったからには、やらないわけにはいかないよね」と娘に背中を押されるような形で「えいやっ!」と自分を推し進める勇気が出せたのです。

「整う」の先にあるときめく暮らし

「自分のときめきで選ぶ」ということが腑に落ちてくると、見栄や不足感でモノを買うことがどんどん減り、暮らしがシンプルになっていきました。
ときめくモノを手作りしたり、お手入れをしながら長く大切に使うことで、モノに対してこだわりや愛着が生まれ「愛用品」と呼べるモノが増えていくことに喜びを感じられるようにもなりました。

また「できるだけ地球に優しい暮らしがしたい」という想いが芽生え、洋服をセカンドハンドショップで買うようになり、お洗濯や掃除はナチュラルクリーニング、髪はヘナという植物を使って自分で染め、自家製のお味噌や甘酒などを使って毎朝子ども達のお弁当を作る、など習慣も徐々に変化しています。

自炊ゼロで、朝も起きられず、何をするにも面倒くさくて後回しにしていた私が、今は「暮らしそのもの」を楽しめるようになっていることに自分でも驚きます。

「片づけの魔法」をあなたにも

「なおみは、昔から片づけが好きだったよね」
この仕事を始めた時、母に言われて「え?そうだった?」と驚いたことがあります。
しかし言われてみれば、その通り。私は幼少期「お姫さまになりたい」と言っていたような子で、お部屋を綺麗にしたい気持ちも人一倍強く、お家のビフォーアフター番組や雑誌の片づけ特集は食い入るようにして見ていたし、雑貨店へ行けば収納グッズコーナーへ吸い寄せられていました。しょっちゅう模様替えをしていたので、母の目には片づけ好きに映っていたのも納得です。

そんな私でさえ「片づけができない」というコンプレックスを抱えるようになってしまったのは、一体なぜだと思いますか。
それは、当時わたしが得ていた片づけの情報は木に例えるなら枝や葉にあたる対処法で、土台となるマインドや全体像を体系的に教わったことが一度もなかったからです。

片づけで大切なことは、自分自身の「心(=ときめき)」と「地(=おうち)」が一致すること。
自分のときめくモノだけに囲まれたごほうび空間を作る、とっても楽しい作業なのです。

あなたも「片づけ物語」を一緒にはじめてみませんか。

こんまり®️流片づけコンサルタント
浦川なおみ