STORY

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汚部屋じゃないのにモヤモヤ

片づけに興味を持ち始めたのは中学生の頃。
初めて自分だけの部屋を与えられ、収納やディスプレイを楽しむ一方で、ランドセルや要らないモノを詰めた段ボールを隠してモヤモヤした場所もあり、何度も片づけを繰り返していました。

24歳で出産を機に専業主婦になり、好奇心いっぱいの息子が1歳を過ぎると事態は深刻化。キッチンの引き出しを勝手に開けて、かつお節を床一面に広げたり、鍋を全部出して息子が棚の中に入っていたりして、面食らってしまいました。クローゼットに服は山積み、洗面所には化粧品が溢れていましたが、来客時は隠していました。「スッキリしてるね」と言われるたびに、後ろめたいようなモヤモヤ感がありました。

こんまり®流片づけとの出逢い

2011年、母から「ときめきで片づける人、知ってる?」と聞かれ、近藤麻理恵さんの存在を知りました。その数日後、テレビ番組で偶然こんまりさんのレッスンの様子を見て衝撃を受けました。片づけ終わったお部屋にあるモノのひとつひとつに存在感があり、依頼者の様子が「本来あるべき姿」になっている感じがしたのです。

「もし私がこの片づけをしたら、この家はどうなるんだろう?」という好奇心と、「昔から抱えているモヤモヤがついに晴れるのでは・・・」という期待感に突き動かされ、すぐに「人生がときめく片づけの魔法」を手に入れ、片づけ祭りを実践しました。

当時、長男3歳、娘が1歳の2児の母。
「忙しいから片づける時間なんてない」と思っていたのですが、やると決めてしまえばなんとかできるもの。子ども達を寝かしつけたあと深夜に何時間も夢中で片づけ続ける日々を送りました。

ときめく?思考vs直感

本に書いてある手順に忠実に実践すると「ときめき」という感覚は、初めからなんとなく分かりました。
しかし、頭で考えていたことと違いすぎて「本当にこの感覚だけを頼りにモノを捨てても良いのだろうか・・・」と不安な気持ちに何度も襲われました。

例えば、布オムツ。
布オムツ育児は赤ちゃんにも優しいし家族も喜んでくれていたので、ときめくアイテムだと思っていたのですが、ときめきませんでした。
ときめかないと気づいた瞬間、勧めてくれた祖母や母の顔が浮かび、ドキっとしました。「もう布オムツはやめたい」と母と夫に話して手放したときの心が軽くなった感覚はいまも覚えています。

一方で、白紙のページがたくさんある3年育児日記は「母親として不完全な自分を残したくないから手放して初めからなかったことにしたい!」と考えていました。
しかし実際に手に取ると、未熟ながらもたくさんの喜びや愛情あふれる瞬間を重ねてきたことに気づかされ、ものすごくときめきました。

モノに触れた時の身体感覚と、思考には大きなズレがあることを知った原体験です。

「母」「妻」だけじゃない

「良き母」「良き妻」のために持っていたモノの多くにときめかない現実を見つめていく中で、ふと「私自身はどんな母でいたいのか、どんな妻でいたいのか、家族とどんな気持ちで、どんな人生を送りたいのか・・・」と自分自身の理想を描く発想がなかったことに気づきました。

家族への接し方に自己犠牲の意識が働き不満が多かったのも、モノを隠すように収納に押し込んでいたのも「私のときめき」という視点で選んでこなかったからなのです。

これからは「私のときめき」で選んでみよう。
そう思考が切り替わったことで、次々に行動が変わっていきました。

パン作りやアルバムづくりなど「家族のためにしてあげたいこと」を楽しむ一方で、夫に自分の理想や素直な想いを伝えるようになり、子ども達と離れて一人の時間を持てるように協力体制を築き、ミュージカル出演を果たすなど、家庭での役割を超えたチャレンジも自分にさせてあげられるようになりました。

家族に片づけが伝染した方法

2013年に第3子が生まれると、片づけに手が回らなくなることが増えました。「子どもの好奇心が育っている証拠」と前向きに捉えようとしてみても、あっという間に乱雑になってしまう光景に「これは私が送りたい理想の暮らしじゃないのでは・・・」という違和感も次第に大きくなっていきました。

自力での片づけの限界を感じ「こんまり流片づけ講座」に申し込み、片づけ祭りをイチからやり直しました。
そこで、いつの間にか元の思考パターンに引っ張られ、ときめきそっちのけで部屋をスッキリさせることにこだわっていたことにハッと気づいたのです。

改めて理想を掘り下げていくと「子どもに笑顔を向けられる心の余裕がほしい」という想いが湧いてきました。
ひとりの時間が欲しいのも、家が整っていてほしいのも、そうして自分をいい状態にして、家族と笑って暮らせる喜びをたくさん感じたいから。
そんな心の奥底の願望に触れ「もう減らすものはない」と思っていたところからさらに4分の1くらいモノが減りました。

講座の仲間の存在もありモチベーション高く自分の片づけに没頭していたので「子どもに教えよう」とは意図していませんでしたが、楽しそうな様子を察知した長男と娘が「やってみたい」と初めて興味を持ち、子どもに片づけを教えるきっかけにもなりました。

私だけの片づけ物語が、ここから家族にも伝染し拡大していくのです。

親子の片づけの常識が180度変わる

初めての子どもとの片づけ祭りは、迷いなくときめきで選ぶ子ども達にただただ戸惑い続ける時間でした。

「子どものときめきで選ばせよう!」と決意して始めたにもかかわらず、親戚から頂いた高価なおもちゃをときめかないと言われていきなり動揺。
「え?それときめかないの?」と圧をかけてしまい、慌てて「○○ちゃんは、ときめかないんだよね。お母さんの予想と違ってビックリしちゃっただけだから、それで大丈夫だからね!」とフォローを入れる・・・といった調子でした。

何度かこんなギクシャクしたやり取りのあと「失敗したところで別に命にかかわることではないのだから、持ち物くらい子ども自身のときめき100%で選ばせてみよう」と腹を括れた瞬間がありました。

すると、子ども達は生き生きと「ときめき」を語ってくれるようになり、親子の片づけの時間が「子どものときめきを共有するあたたかな時間」になったのです。
片づけは自分や家族が大切にしたいものを知り、お互いを大切に想いながら暮らす喜びを味わうための手段にもなるんだ。

そんな発見に「面倒くさくても母親だから仕方なくやるもの」というそれまでの自分の常識が180度変わりました。

ときめく人生は良いことしか起こらない?

「人生がときめく」という言葉の響きから「良いことしか起こらない」というイメージを漠然と持っていましたが、そうではないのだと思い知らされた出来事があります。
小学校のPTAの改革をした際に、とある良くない噂話が広まっていったのです。ピンチだからこそ寄り添ってくれる人の優しさを知ることができたというポジティブな側面もありましたが、ショックも大きかったのが本当のところです。

途端に人目が気になるようになり「ときめき」がブレていたこの時期に、Joy at Workというこんまりさんの著書に出逢いました。
その中にある”人の目が気になって「ときめく」道に進むのが怖いとき”という章のエピソードが、噂話によって委縮していた自分と重なるように感じられ、読みながら涙が止まらなくなってしまいました。

感情を出し切ってみると「どんな生き方をしようと、自分のことを嫌うひと、誤解するひと、批判するひとは必ず存在するものなんだ」と、ふと冷静になれました。
ときめきを見失いかけていましたが「やっぱり周りの反応に囚われず、自分の心に従って生きる道を私は選びたい」と、読後は少し前向きな気持ちになっていました。

片づけコンサルタントになった意外なきっかけ

2019年、幼稚園のPTA会長の任期中、こんまり流エグゼクティブコンサルタントの高山喜代美さんの講演会を企画運営し、70名以上の保護者の方にご参加いただきました。講演会の中で高山さんがお話しされたお客様のエピソードを聴き「私もこんな片づけコンサルタントになりたい」との思いを強めていきました。しかし、そう自覚してからも噂話の一件もまだ尾を引いており、行動に移す勇気が出せない時期が数ヶ月続きました。

そんなある日、当時小3の娘から「お母さんは、いま何にときめくの?」と聞かれました。娘からの意外な一言にビックリして頭が回らず、咄嗟に「え、えっと、お母さんは、いま、片づけの仕事がしたいと思ってる。それができたら、ときめく!」と、そのとき考えていたことがうっかりそのまま口から出てしまいました。

実はこのやり取りが、わたしが片づけコンサルタントへの道を進むことになったきっかけです。
「我が子に言ったからには、やらないわけにはいかないよね」と娘に背中を押されるような形で「えいやっ!」と自分を推し進める勇気が出せたのです。

暮らしのテーマは「ヘルシー&クリエイティブ」

「自分のときめきで選ぶ」ということが腑に落ちてくると、見栄や不足感でモノを買うことがどんどん減り、暮らしがシンプルになっていきました。
ときめくモノを手作りしたり、お手入れをしながら長く大切に使うことで、モノに対してこだわりや愛着が生まれ「愛用品」と呼べるモノが増えていくことに喜びを感じられるようにもなりました。

また「できるだけ地球に優しい暮らしがしたい」という想いが芽生え、洋服をセカンドハンドショップで買うようになり、お洗濯や掃除はナチュラルクリーニング、髪はヘナという植物を使って自分で染め、自家製のお味噌や甘酒などを使って毎朝子ども達のお弁当を作る、など習慣も徐々に変化しています。

自炊ゼロで、朝も起きられず、何をするにも面倒くさくて後回しにしていた私が、今は「暮らしそのもの」を楽しめるようになっていることに自分でも驚きます。

片づけは「自己表現」である

「なおみは、昔から片づけが好きだったよね」
この仕事を始めた時、母に言われて「え?そうだった?」と驚いたことがあります。
しかし言われてみれば、その通り。私は幼少期「お姫さまになりたい」と言っていたような子で、お部屋を綺麗にしたい気持ちも人一倍強く、お家のビフォーアフター番組や雑誌の片づけ特集は食い入るようにして見ていたし、雑貨店へ行けば収納グッズコーナーへ吸い寄せられるように向かっていました。しょっちゅう模様替えをしていたので、母の目には片づけ好きに映っていたのも納得です。

そんな私でさえ「片づけができない」というコンプレックスを抱えるようになってしまったのは、一体なぜだと思いますか。
それは、当時わたしが得ていた片づけの情報は木に例えるなら枝や葉にあたる対処法で、土台となるマインドや全体像を体系的に教わったことが一度もなかったからです。

片づけは「自己表現」です。
人から見てきれいな家かどうかだけに囚われず、あなた自身の「心(=ときめき)」と「地(=おうち)」が一致することにフォーカスしてみてください。
そんな視点で片づけると、大変さの中にもきっと「喜び」を見出せるはずです。
本当の意味で心地よい空間と自分らしい生き方を手にいれてください。

「片づけの魔法」があなたにも届きますように。

こんまり®️流片づけコンサルタント
浦川なおみ